「ハートに火をつけろ!」指導の様子をチラ見せ
すっかり秋でございます。
前回の記事までは、暑い、暑いとしつこく言っていましたが、時の流れは恐ろしく早いです…。
タイトルの「ハートに火をつけろ!」は、ラルクファンからしたらお馴染みのフレーズですが、おこがましくも自分のブログのタイトルにさせていただく日が来ようとは・・・ラルクファンの逆鱗に触れぬことを祈りつつ、心して執筆する所存でございます。
さて、前回までは、主に演奏上の注意点についてお伝えしてきましたが、今回は、先日伺った浜松市立高校での指導の様子をチラッとお伝えしたいと思います♪
「県大会で一位になりたい・・・!」箏曲部の想い
指導にあたったきっかけは、昨年度から務めさせていただいている“邦楽普及大使”として、浜松市立高校箏曲部に指導に来てほしいと依頼がありました。(邦楽普及大使とは、文化庁の“邦楽普及拡大推進事業”の一環で・・・詳しくは文化庁の公式サイトをご覧ください⭐︎)
お話を伺ったところ、高校生全国コンクールへの出場校を決める県大会で一位を獲りたいので、指導してほしいとのこと。
コンクールの経験数は、おそらく全人類で一番多いのではないか?と思うくらい経験してきた私にとって、とても他人事とは思えません。(プロフィールに記載しているだけでも相当な数ですが、経験数だけで言えばもっとあります)
しかも、いつも指導されている先生から、「いつも二位なんです・・・でも、次こそ一位を獲りたいんです!」と聞いた私。
まるで私みたいじゃないか・・・!と、今年受けた2つのコンクールで、どちらも二位を受賞して悔しい思いをした私は(大変ありがたいことではあるのですが)益々我がことのように思えて、是非とも一位を獲らせてあげたい!と、拳をギュッと握り締めました。

浜松市立高校での指導の様子①
「“コーロリン”が肝!」基本の重要性
エントリー曲は、高橋久美子先生作曲『「秋風の曲」主題による箏四重奏曲』。
古典の大曲『秋風の曲』を元に作曲されただけあって、古典的な奏法や表現が重要となる、難曲です。
『秋風の曲』は、私も自身のリサイタルで演奏した、思い入れの深い曲。
古典の中の古典と言える、古典を極めしものが演奏する、雰囲気がとても重要な、大人の演奏を求められる曲です。
冒頭のソロパートは原曲がそのまま取り入れられていて、特に重要な部分です。
そこで、私が耳にタコができるくらい念押ししたのが、“コーロリン”の弾き方。
“コーロリン”とは、ふざけた合言葉などではなく、れっきとした箏の基本的な奏法の一つです。
唱歌(曲のフレーズを言葉として表した、オノマトペに近い表現方法)が根付いた文化ならではの表現で、実際に“コーロリン”を耳にすると、「コーロリン」と聞こえるのがお分かりになると思います(^_^)
曲中、至る所に頻出する奏法ですし、これができないとお話になりません。
ましてや、目指すところが県大会一位ともなれば、ただ弾けるだけではその目標を叶えるのは難しいでしょう。
聞くところによると、なんと、部員の2年生は箏を始めてたったの一年で、1年生は5月に初めて爪をはめたばかりだそう…!
私が“コーロリン”を初めて弾いたのは、10歳の頃『六段の調』を習ったときなので、箏を始めて6年は経っていました。
つまりは、基本の奏法でありながら、それなりに難しい奏法ということです。
経験の浅い高校生にどこまでできるか・・・教える立場としても、不安でした。
“コーロリン”
「そうそう、その感じ!」対面レッスンだからこそ伝えられること
事前に動画を送ってもらい、ある程度の注意点は伝えていたものの、やはり対面でないと伝わらないことが多々あると実感しました。
“コーロリン”だけでなく、色々な奏法の細かいニュアンスは、どうしても言葉だけでは伝えきれないですからね。
一人ずつ弾かせながら、「もっとこうしてみて」「そう、今の感じを忘れないで!」などと、念入りに細かく修正。
見たり聞いたりしただけではなく、自分で「正しい弾き方はこれだ!」と確信を持つには、どうしても指導者に細かく教えてもらわないと、誰だって難しいでしょう。
私の言うことに部員全員一生懸命食らいつき、飲み込みが早いものの、やはり古典的な細かなニュアンスは一朝一夕には手に入りません。
でも、絶対に諦められない私。
みんな経験が浅いのに、ここまで弾きこなせるなら、できるでしょ!と。
本当に、演奏を聞いたらレベルの高さに驚きますよ(゚ω゚)
どんなに不器用でも、わからなくても、“何としても上手く弾けるようになりたい”という思いで試行錯誤しているうちに、できるようになる瞬間が必ず来ることを、経験上わかっていました。

浜松市立高校での指導の様子②
「私ってこんな風に弾いてるんだ!」客観的な視点で観察してみよう
指導に熱がこもり・・・2時間程度で終わらせるつもりが、気づいたら4時間経っていました(汗)
もちろん4時間指導したからといって、県大会一位が近づいたわけではありません。
でも、短い期間でレベルの底上げをすることは、可能です。
どれだけ頑張れるかです。
それに、高校生には「きっとできる!」と思わせてくれる底力を感じました。
そこで大事なことは、問題点を正しく理解し、意識すること。
ただがむしゃらに練習しても、遠回りになってしまいますからね。(私にもそんな時代がありました^^;)
当たり前のことですが、練習していて、自分では気づけないことが沢山あります。
指導者に指導を乞うのも大事ですが、自分たちの演奏を、客観的に見て、聴く。
この作業は、レベルの高い演奏を目指すなら、マストと言って良いでしょう。
幸い、今の時代は録音も動画撮影も簡単にできますからねd(^_^)(昔の先人たちは、そういうことができなかったことを思うと、どんな努力をしていたんだろうと、気になるところです…)
「そんなの無理・・・」本当にそう?みんなが持ってる隠れた能力
そして、“出来ない”とは決して思い込まないことも、同じくらい大事です。
自分の認識外のことを要求されたとき、「そんな難しいこと無理だよ・・・」と思ってしまうのは人間に組み込まれたどうしようもない性質
・・・ではないのですよd(゚∀゚)笑
私もかつてはそう思い込んでいましたが、そう思い込むことをやめるだけで、潜在能力がグッと引き出されて、思った以上の成果をあげられることがあることも、経験上自信を持って言えます。(他の記事でも度々言っていますが^^;)
指導にあたった高校生たちは、まだ何が簡単で、何が難しいのかもわかりません。
だからこそ良いのだと思います。
私も、今だったら「そんな難しい曲絶対やりたくない!( ;´Д`)」という曲も、学生の頃はそんなこともわかっていなかったので、「どんな曲もやってみたい!」という好奇心だけで、無謀と言える超難曲にも挑戦し、必死に練習した結果そこそこ弾けるようになっていました。
ある程度経験を積むと、色々なことがわかってきて「これは大変だからやめておこう」と安全圏で上手くやろうとしてしまいがちですが、何でも物怖じせず挑戦することで、自分だけの宝物がどんどん増えていくのだと思います。
若さってそういう意味でも武器なんですよね。
高校生、羨ましいな〜。(о´∀`о)笑
意外と難しい「余計なことは考えないで全力投球」
県大会まであと僅か。
ここまで来たら、結果は気にせず、残りの時間を最大限活かして、良い演奏をすることだけを意識して頑張ってほしいと思います。
本当に、結果は気にしない方が上手くいきますからね。(結果を意識しすぎた挙句の苦い思い出が多々思い出されます~_~;)
目標に向かって頑張った経験が、何よりの宝物になるはず。
頑張れ、みんな*\(^o^)/*
教室でのレッスンだけでなく、このような出張のグループレッスンも承っております(*^^*)
熱い指導をご所望でしたら、ぜひご依頼くださいね⭐︎
では、次回もお楽しみに〜(^^)/~~~

2025年10月15日 「邦楽普及拡大推進事業」@浜松市立高校


