「地味に大事!」箏を弾くときの“向こう指”

夏も終わりに近づきつつありますが、まだまだ暑いですね(~_~;)
毎年夏は暑さが更新され(きっと気のせいではない)、暑いという言葉しか出てこなくなります。

さて、今回は、“最初にきちんと出来ておくべき大切なこと”についてお話しします。

目次

「地味に大事!」箏を弾くときの“向こう指”

「正しい弾き方のヒントは見た目にあり!」上手な人を観察しよう

箏爪をはめて、いざ箏を弾こうとするとき、初心者の方がやってしまいがちなことがあります。
それは、向こう指を絃に置かずに弾こうとすること。

箏に触れるのが初めてだったり、ほとんど経験のない方にとても多いです。
“向こう指”とは、右手の親指以外の4本の指のことです。
箏を弾くとき、親指に対して向こう側に配置される指なので、向こう指といいます。

親指の爪を絃に当てて基本的な弾き方をするとき、向こう指を置かずに弾こうとしている方を見ると、皆さん親指を曲げて、爪を下から絃に引っ掛けるようにして音を出しています。
そういった弾き方は、奏法として無いわけではないですが、初めに正しい弾き方を身につけずにそういった弾き方をすると、どんな奏法も正しい弾き方から逸脱した弾き方になってしまいます。

正しい弾き方でないと音がきちんと鳴りませんし、見た目からして格好良くありません。
どんな奏法でも、正しい弾き方ができているときは、音だけでなく見た目も美しいはずです。
指導者や、上手な人の弾き方を観察するとよくわかると思いますし、正しいフォームを最速で身に付けたい方は、鏡を見ながら練習してみてくださいねd(^-^)

「大事なのは親指だけじゃない!」焼きそばでいうソース的存在

親指の爪を絃に当てて基本的な弾き方をするとき、向こう指を置いて爪を当てると、絃に正しく力が伝わり、美しい音色で弾くことができます。
私は箏を弾くのが初めての方に教えるときは、親指で弾く奏法と同時に、向こう指の使い方も伝えています。

親指が焼きそばの麺だとすると、向こう指は“ソース”です。
美味しい焼きそばを食べたいのに、ソースがかかっていなかったら・・・?
親指がスパゲッティだとすると、向こう指は“ミートソース”です。
ミートソーススパゲッティを食べたいのに、ミートソースがかかっていなかったら・・・?
親指がカレーライスのライスだとすると(以下略)

要するに、親指の爪を絃に当てる基本的な弾き方をするとき、向こう指は必ずセットです。

音を出す前に、まず向こう指を絃に置いているか、要チェックです!d(╹◡╹)

「どうやって置くの?」“向こう指”の置き方

では、向こう指を置くとき、「どのように置けば良いの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。

まず親指の位置は、龍角からほど近い位置が基本の位置ですので、親指の位置を良き位置に定めます。(龍角に薬指を付けて、小指を龍角の外側に出した位置に向こう指を設定すると、自然と親指が良き位置に行きやすくなります。)
親指が龍角から離れ(柱に近寄り)すぎると、基本の良い音から遠ざかってしまいますので、親指を置く位置も大事ですd(・∀・)
そして向こう指は、親指に対して「絶対にこの間隔で置かないといけない」という条件は無く、“親指に対して弾きやすい間隔で置く”というのが原則です。
間隔が開き過ぎると弾きづらくなってしまいますし、狭過ぎても支障が出てしまいます。

例えば、『さくらさくら』を、一が壱越(レ)の平調子で全て親指で弾くとき、最初の音が“七”ですので、親指を“七”に置き、向こう指を“二”に置いたとします。
「七七八(さくら)七七八(さくら)」までは、なんとか弾けたとします。
では、その後の「七八九八七八七六(やよいのそらァは)」というフレーズを弾くときはどうでしょう?
私は手があまり大きくないので、向こう指を“二”に置くと、特に“九(い)”の音を弾くときに、親指と向こう指の間隔をかなり広げないと弾くことができず、だいぶ弾きづらくなってしまいます。
弾きづらいということは、音色もベストではなくなってしまいます。
そもそも、冒頭から「七八九八七八七六(やよいのそらァは)」までは、六〜九の4本しか絃を使わないので、向こう指は“二”ほど遠くに置く必要はなく、“四”か“五”に置いておけば問題なく弾けますねd(^_^)
その方が絃に力が容易に伝わりやすく、音も綺麗です。
向こう指を“五”に置いたら、「七七八(さくら)七七八(さくら)七八九八七八七六(やよいのそらァは)」と、手が小さい方でも、ほとんどの方が向こう指を動かさないで弾けると思います。

「“弾きやすさ”だけじゃない!」向こう指を置くときの注意点

では、向こう指を“五”に置き、「七八九八七八七六(やよいのそらァは)」まで弾けたと仮定します。
次の「五四五六五五四三(みわたすかぎィり)」というフレーズを弾くには、向こう指を動かして、親指との間隔を開けなければいけません。
そのとき注意したいのが、フレーズをなめらかに弾けるかどうか
例えば、「五四五六五五四三(みわたすかぎィり)」と弾くために、向こう指を“三”に置いたとします。
“三”に向こう指を置いていたら、「五四五六五五四三(みわたすかぎィり)」の“三(り)”を弾けないので、“三(り)”を弾くために、もう一度向こう指を広げなくてはいけなくなります。
つまり、向こう指を、フレーズの途中で動かさないといけなくなりますよね?
そうすると、耳で聞くだけでなく、視覚的にもフレーズが途切れたように感じてしまいます。

では、「五四五六五五四三(みわたすかぎィり)」と弾くために、どの絃に向こう指を置くのが良いでしょう?
もうお分かりですね(^-^)
正解は、“一”または“二”の絃です。

向こう指を動かすタイミングや、向こう指を置く場所も、曲の一部に感じられるようなタイミングであったり、フレーズを途切れさせない位置に置くことを意識することで、なめらかで美しい演奏をすることに繋がります♪

「力んじゃダメ!」部分脱力を身に付けよう

手が速い曲など、曲によっては「向こう指のことなんて考えてられない!」という曲もあります。
実際私も、そういう曲を弾くときはあまり向こう指のことは考えられていないと思います^^;
ですが、そういった曲でも、向こう指の配置設定が甘いと難しいフレーズも弾ききれなかったりするので、やはり向こう指はどんな曲でも大事といえます。

そして、向こう指は絃に置くだけで、ほとんど力は入れません
もちろん、人差し指や中指を使って弾くときや合わせ爪の場合は別ですが、親指だけで弾くときは、向こう指には極力力を入れないことで、親指を自由に動かすことができます。
特に手の速い曲を弾くときは、この“部分脱力”が重要になります。

楽器を弾くときは、箏に限らず、部分的に力を抜く技術も必要だと思います。
初めはなかなか難しいと思いますが、ご安心を!
不器用な私でもできるようになったので、慣れればちゃんとできるようになります^_−☆

「必要なことを余すことなく!」不器用な私だからこそお伝えできること

今回は、最初は意外と見落としがちな“向こう指”についてお伝えしました。
向こう指の扱いは、初期段階でマストで出来ておくことの一つだ!と気づき、ブログ記事にしました。

私のお教室では、初心者の方からプロの演奏家を目指す方まで、一人一人に合った指導方法で丁寧にお教えします!
「何で弾けないかわからない」「何が問題かわからない」という方も、原因から解決方法まで伝授いたします♪
元々不器用な私だからこそお伝えできることがあると思いますので、演奏方法やお困りごと、プライベートなことも(笑)
何でもご相談ください(^_^)
不器用なことは、決して悪いことではありません。
不器用さん、大歓迎です!(゚∀゚)

もう夏が終わろうとしているなんて、本当に時間が過ぎるのって早いですね・・・コワイ(;∀;)
季節の変わり目ですので、皆さんご自愛くださいね。
次回もお楽しみに☆彡

2025年6月8日 「くまもと全国邦楽コンクール」@市民会館シアーズホーム夢ホール

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